はじめに
「欲望」について、深掘りします。
参考サイト
① https://asu-yoku-laboratory.com/evolutionary-psychology (進化心理学)
② https://realizationofideal.com/episode1-of-desire_construction-murray/ (欲球の種類の全体像)
③ https://dentsu-ho.com/articles/8138 (欲求オクタグラム)
欲求とは
心理学用語に、「欲求」というものがあります。
人間の行動にはそうせざるを得ない原因や理由があるはずです。
心理学では、この理由や原因を 「欲求」や「動機」と呼んでいます。
欲求には人間ならだれもが持っている、あらゆる欲求の基礎となる「基本的欲求」があります。その基本的欲求も「生理的欲求」と「心理的欲求」に分けることができます。
欲求には必ず目標があり、その目標のために行動をします。
欲求の心理学!欲求不満の原因と葛藤の4つの型 | Cupuasu(クプアス)
欲求5段階説とは
欲求5段階説は、1943年にマズローが発表した論文「人間の動機づけに関する理論」で世の中に出ました。
人間みんな持っている5つに階層化された欲求について解説しています。
その5つの欲求が以下。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 所属と愛の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
1-5番の優先順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れます。
そして、どの階層の欲求に取り組んでいるかと、その人の健康度は比例します。
また、人間は「欲望」を持つことを悪いことだと捉えがちですが、マズローによると、人間が一定して持つ基本的欲求から生まれる欲望は決して悪ではありません。
欲求を抑えるよりも、引き出して満たした方が、より健康になり、より生産的になり、より幸福になることができると考えられています。
マズローの欲求5段階説をこの上なく丁寧に解説する。あなたの欲求はどのレベル? | 八木仁平公式サイト (jimpei.net)
本編
①進化心理学について
進化心理学は、人間も動物の一種であり、進化論と同じく、人間も必要な「欲求」が自然淘汰によって残されてきたと考えます。
誤解をおそれず正確さよりも分かりやすさを優先してまとめると、人間の欲望の原因を、「生殖」と「生存」の二つから派生するものと考えるのです。
「異性との性行為(生殖)」を中心におき、そのためには「生存」が欠かせないと考える。
私が面白いと感じたのは、「サバンナ原則」です。
サバンナ原則
サバンナ原則とは、進化心理学の重要な前提条件となっています。
その内容は次のとおりです。
我々は世代交代の周期に20年もかかるのであり、1000年あっても50世代しか世代交代しない。ゆえに、遺伝的変化が起きるには、1000年、2000年ではあまりにも短すぎる。少なくとも、何万年という時間の経過が進化に必要である。
したがって、我々の脳は、アフリカのサバンナで狩猟採集生活を営んでた祖先の脳と全く変わっておらず、そのため、当時のサバンナに存在しなかった概念を、本当の意味で現代の我々は理解できないと考えます。
例えば、男性の「あの生理現象」は、女性と生殖行為をするためにありますが、本来、実際に異性が目の前にいなければ意味のないものです。しかし、性欲を煽る動画や書籍を目の前にした男性は、目の前に本物の女性がいないのにも関わらず、その生理現象を引き起こしてしまいます。
このことをサバンナ原則にかかれば、脳がサバンナの頃のそれと同じなので、脳がエラーを起こし、目の前に女性がいると錯覚していると説明するのです。
ほかにも、甘いものを食べすぎてしまうのも、「生存」のためにはカロリーをとることが必須であり、食べ物を目の前にして、食べない選択をするというのはその欲求に反しているのです。
②欲求の種類の全体像について
マズローの五段階欲求説は、だれしも一度は耳にしたことはあるだろう、有名な理論です。
しかし、現代人の欲求は、社会の複雑化に伴い、どんどん細分化され、複雑なものと化しています。
上記で紹介した社会的欲求は、荻野七重氏、斉藤勇氏によって更に細分化された。
その数、なんと59種類だ。
生理的欲求と合わせて、計70種類にも及ぶ。※・萩野七重(おぎのななえ,文学修士,白梅学園短期大学 心理学科 教授)
https://realizationofideal.com/episode1-of-desire_construction-murray/
・斉藤勇(さいとういさむ,文学博士,立正大学 名誉教授)
・「優越・支配に関係する欲求」
1 自尊欲求 自分を認め、自尊心が傷つかないようにしたい 2 競争欲求 他人と争いたい 3 優越欲求 他人より優れていることを証明したい(マウンティングしたい) 4 攻撃欲求 武器、武力を使って相手を攻撃したい 5 反発欲求 やられたらやり返したい( 「やられたらやり返す!倍返しだ!」) 6 流行欲求 流行の最先端のものを手に入れたい 7 自己顕示欲求 注目を集めたい、評判になりたい 8 指導欲求 集団をまとめたい(リーダーシップを発揮したい) 9 名誉欲求 社会的に名誉のある地位につきたい 10 支配欲求 人に指示、命令したい 11 権力欲求 権力が欲しい ・「情的支配に関する欲求」
12 愛情欲求 愛する人のために行動したい 13 恋愛欲求 好意を寄せている人の望みをかなえ、好かれたい(自分中心) 14 愉楽(ゆらく)欲求 皆と一緒に騒ぎたい、ワイワイしたい 15 自由欲求 自由な生活をしたい(縛られたくない) 16 自己表現欲求 自分の個性をアピールしたい 17 不満解消欲求 ストレス解消のために、気分転換したい ・「積極的活動に関係する欲求」
18 達成欲求 困難を乗り越え、目標を達成したい 19 内罰欲求 自分に悪いところはないか、反省したい 20 自己成長欲求 自分自身を充実させ、成長させたい 21 持続欲求 最後まで根気よく続けたい 22 自己実現欲求 人生計画を立て、日々努力したい 23 知識欲求 勉強し、知識を増やし、多くのことを学びたい 24 自己主張欲求 自分の正しさ(正しいと思ったこと)を主張したい 25 批判欲求 人が悪いことをした時、指摘し、正したい。 26 趣味欲求 生きがい、趣味を持ち続けたい 27 感性欲求 美しいものを見たり聴いたりして、感動したい 28 理解欲求 物事の因果関係を理解したい、理由を知りたい 29 他者認知欲求 他人の性格や個人的なことを知りたい、理解したい 30 好奇欲求 新しいこと、珍しいことを経験したい ・「関係の形成に関係する欲求」
31 秩序欲求 社会生活において、ルール、規則を守りたい 32 援助欲求 立場の弱い人、困ってる人に手を差し伸べたい、世話をしたい 33 集団貢献欲求 所属している集団のために全力を尽くしたい 34 社会貢献欲求 住み良い社会を作るために貢献したい 35 教授欲求 自分の得意分野を、先生として教えたい 36 自己認知欲求 自分の性格について知り、理解したい 37 承認欲求 できるだけ多くの人から好かれたい、認められたい 38 自己開示欲求 親しい人に、もっと自分のことを知って欲しい ・「保身に関係する欲求」
39 屈辱回避欲求 人前で笑われるようなことを避けたい 40 同調欲求 仲間と一緒に同じことをしたい 41 嫌悪回避欲求 人に嫌悪感をもたれたくない 42 批判回避欲求 他の人からの批判を避けたい 43 服従欲求 上の人の指示に従って行動したい 44 優位欲求 他の人より優位でありたい(自分より下の人と仲良くしたい) 45 譲歩欲求 争いを避けるために、譲りたい 46 安心欲求 失敗を避けるため、安心な方を選びたい 47 気楽欲求 無理をせず、のんびりした人生を送りたい 48 挑戦欲求 危険なことにでも挑戦したい 49 安全欲求 見に危険が及ぶようなことは避けたい 50 拒否欲求 嫌いな人とは付き合いたくない 51 金銭欲求 お金を確保したい 52 生活安定欲求 安定した生活を送りたい ・「協調に関する欲求」
53 依存欲求 誰かに助けてもらいたい 54 親和欲求 友人との交流を深めたい 55 協力欲求 仕事やプライベートなどで、協力し合いたい 56 孤立欲求 できるだけ一人でいたい 57 恭順(キョウジュン)欲求 信頼できる指導者に従いたい 58 自己規制欲求 規則正しい生活を送りたい 59 迷惑回避欲求 他の人に迷惑をかけたくない https://realizationofideal.com/episode1-of-desire_construction-murray/
これは、「社会的欲求」を細分化してものであり、一口に「認められたい」という欲求であっても、いろいろな文脈における、様々な欲求に基づくものである可能性を示しています。
③欲求オクタグラムについて
そこで、「生理的・安全的欲求」にはじまり「自己実現」へと向かうマズローの成長軸に、内と外という視点を加えることで、より網羅性のある欲求マップが作れるのではないかと考えました。
中央大学で消費者行動論を専門に研究している田中洋教授に監修していただき、成長軸を中心に置きながら、その両脇に「内(自己への影響)」と「外(社会への影響)」という対立軸を配置し、マズローとシュワルツの図に出てくる各欲求を8つの「根源的欲求」に集約して、構造化することに成功しました。結果出来上がった下図が、DDDで「欲求オクタグラム」として再定義したものです。
https://dentsu-ho.com/articles/8138
これが面白いのは、マズローの段階的な欲求の理論に、シュワルツの分布図的な欲求の理論を組み合わせたところにあります。
下表は関係性が強いことが分かった個々の欲求のまとまりを示しています。
この11の因子(グループ)をさらに深く分析することで、「欲望」の輪郭がよりクリアになっていくと考えられます。※6 = 因子分析複数のデータの関連性を明らかにするための統計手法の一つ
https://dentsu-ho.com/articles/8138
これについて、より応用的な観点(マーケティングの観点)を知りたい方は、「ウェブ電通報 | 「DENTSU DESIRE DESIGNが考える、「欲望理論」からのマーケティング再構築」 (dentsu-ho.com)」にジャンプしていただけると、より詳細に知ることができます!
終わりに
いかがでしたか。
話は変わりますが、デザインの世界には、「スペキュラティブ・デザイン」と呼ばれるものがあります。
これは、「あるデザインが実現された世界」を想像させることで、新たな議論の場・土台を提供することを目的とするもののことをいいます。
この記事が、ここまでご覧いただいた貴方にとっての「スペキュラティブ・デザイン」となれば幸いです。
コメント