はじめに
こんにちは。
私は現在TOEIC800+を保持しています。
しかし、リスニングの上達には特に苦労しました。
以前の私は、リーディングについては大学受験までの知識があるので点数が稼げるけれど、一方、リスニングはというと、聞こえてきた単語の意味を脳内で毎回検索して、すると気が付けば会話は先に進んでいて、「それっぽい答え」を選択する。
ずっとこの調子でした。
そんな私がTOEIC800+を取得できたのには、「音読」、いわゆるシャドーイングによる部分が非常に大きいです。
そして、一口にシャドーイングといっても、私の体感ですが、うまくいくシャドーイングと、うまくいかないシャドーイングがありました。
今回は、そういう、シャドーイングの方法論について、記録を残したいと思います。
なお、音読以外に私がTOEIC800+をとるまでにしたことは、以下の別の記事にまとめていますので、こちらもぜひご覧ください↓
私が考えるきちんと効果の出るシャドーイング
①シャドーイングをする教材は、まず語彙、文章、さらに内容まで理解しておく。
②いきなり速いスピードには絶対にしない。
③シャドーイングは文章を見ながらと見ずにの、両方おこなう。
④シャドーイングを繰り返す文章は、15個を目安に、10個から25個ほどにする。
⑤息を吐きながら英文を音読し、ウィスパーボイスでシャドーイング(したり)する。
これが、私の考える、「うまくいく(=きちんと効果の出る)シャドーイング」の5大重要ポイントです。
本編では、①②③④⑤について、それぞれ具体的に解説します。
本編
①シャドーイングをする教材は、まず語彙、文章、さらに内容まで理解しておく。
✕ダメな例→聞き取れないあるいはところどころだけ聞き取れる英語のニュース音源をシャドーイングする。
シャドーイングをする英文は、はじめは問題として初見で聴いてももちろんいいですが、シャドーイングを繰り返すことに決めた時は、まずその文章に含まれる分からない単語と文法、さらにはその訳・内容まで事前に情報を頭に入れましょう。
理解している単語を繰り返し発音する。理解している文法を繰り返し発声する。理解している内容の文章を繰り返し口にする。
その積み重ねが、その単語、文法、内容についてのあなたの英語理解を高め、次に違う英文としてそれらに出会ったときに、聞き取れるし、聞き取れたならばその内容まで頭に瞬時に浮かぶし、話そうとするときにもその単語・文法・内容が口から滑らかに出てくるようになります。
②いきなり速いスピードには絶対にしない。
✕ダメな例→英文に慣れるためといきなり1.5倍速でシャドーイングを行う。
「いきなり」というのが肝です。最後には速いスピードでシャドーイングを行う必要はあります。しかし、そのタイミングが「いきなり」ではダメという話なのです。
速いスピードにしてはいけないと私が考える理由は、速いスピードに無理やりに合わせることをすると、単語の発音について、誤った舌使いがしみついてしまうおそれがあるためと、①で重視すべきと話した文法や内容の理解にも意識を払った音読が蔑ろにされてしまうおそれがあるためです。
適切なスピードは、自分が単語の正しい発音を行えて、かつ、今自分がどんな内容の一文を話したのかを理解しながらシャドーイングをできているスピードです。
正しい発音は、繰り返すほどに口や舌になじみ、その動きが身につきます。これが大切です。
また、理解しながら話す一文の音読を繰り返すほど、その一文やそこに含まれる単語や文法と仲良くなることができます。余談ですが、言葉とは伝達「手段」であり、日本語と英語は訳せる単語や文法であるとしても厳密にはそのニュアンスは一致しません。どのような場面で、どのような意図でその英文や単語や文法が使われるのか、そういった視点で英語を考えることが効果的な英語習得のコツです。
そして、きちんと自分に無理のないスピードから始めると、シャドーイングを5~10回繰り返す頃には、ちゃんと余裕が出てきます。なので、余裕がでてきたら、音声のスピ-ドをそれよりも速くしてやります。そして、また余裕が出てきたら…と、同じようにスピードをじっくりとあげていきます。もっとも、ここでも無理をすることを禁物です。
20回繰り返す頃には、口や舌の動きがなめらかになり、単語の発音や、単語同士のつながりも自分のなかで洗練されてくるのが分かると思います。さらには、自分が英語を発生しやすい口のホームポジション(口はパソコンじゃないですが。)もなんとなくわかるようになると思います。
ここまで読んで、「ここまで説明されたシャドーイングでは文章の暗記と変わらず、この世に存在する英文はその文章だけではないのだから、試験や現実で他の英文を読んだり聴いたりするときには意味がないのではないか。」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、不思議なもので、私の経験上、TOEICの一つのリスニング問題程度の長さの英文を、15個ほど丁寧にシャドーイングを何度も何度も日をまたぎ繰り返したなら、知らない・出会ったことのないはずの他の英文を聴いたり、話そうとしたときにも、耳が英文を捉えるし、口が滑らかにまわるようになっています。
③シャドーイングは文章を見ながらと見ずにの、両方おこなう。
✕ダメな例→文章をみながらしか、あるいは見ずにしか、シャドーイングを行わない。
シャドーイングは面白いもので、自分にとって、見ながらした方が効果的な時と、見ずにした方が効果的な時の両方があります。これはうまく理論的に説明できませんが、私の経験上、その事実はたしかだと言えます。
私のおすすめは、基本的には、はじめから見ずに行うのは難しいので、はじめは見ながらのシャドーイングを3~5回ほどします。そしてこのあたりで一度、見ないでシャドーイングをします。すると、理解しているつもりになっていた「単語の発音」や「文法の構成」の部分が、口が回らず音声についていけなくなります。
これを一度立ち止まって確認します。確認を終えたら、もう何度か、負荷の小さい見ながらシャドーイングを繰り返したのち、「今度はどうか」ともう一度見ないでのシャドーイングを挟みます。すると、少しマシになってはいるけれど、やはりうまくいかない部分がある。しかし、そのうまくいかない部分はさっきよりもたとえほんのわずかだとしても減っているので、残りの部分によりリソースを割いて確認することができます。
この繰り返しをしていると、頭や口に英文やその単語や文法の感覚がちゃんと残ってくれます。見るだけのシャドーイングだとこうはうまくいかないし、見ないでするシャドーイングだと、ここまでくるのに負荷が高すぎて挫折してしまう。
「今度はどうか」と、見ながらのシャドーイングは反復しながら、たまに自分の成長を確認してやる。そのぐらいの緩さが丁度いいのではないかなと個人的には思います。
余談ですが、何事も、挫折してしまっては大きなタイムロス、ひどい場合には見るはずだった景色を一生見ないことにもなってしまいます。たとえ負荷を下げたとしても、それを気ままにでも継続しさえすれば、その継続した経験から自分が思ってもみないような十分な効用・機能が生じるものですから、挫折だけはもったいないのではないかと思うのです。もっとも、無理に固執することもまたよくないものだと思いますので、そのバランスはやはり難しいものですよね。(気分転換のおすすめとしては、映画の初代アイアンマンを字幕版で見ることです。これをいつか聴き取れたらかっこいいだろうなーと考えながら鑑賞してみると意外とやる気がわきますよ♪)
④シャドーイングを繰り返す文章は、15個を目安に、10個から25個ほどにする。
✕ダメな例→ある日シャドーイングした英文と一期一会でさようなら。
15個を目安に、シャドーイングをする対象となる英文を決めて、日をまたいでシャドーイングをしましょう。一度シャドーイングをして上手に発声できるようになった英文とさようならするのはダメです。
日をあけて何度も繰り返してみる。口が回る状態に何度も戻してあげる。
個人的には、1時間あるならば、30個の英文をシャドーイングするより、3個ほどの文章を丁寧に文章や単語や発音を調べたうえで、正しい発音&英文理解を伴ったシャドーイングを繰り返す方が、効果は高いと感じます。
そして、まずは15個ほどシャドーイングを繰り返すストックがあれば十分です。15個目をしているときには、1個目の英文はかなり忘れて、口も回らなくなっているものですので、全部を繰り返すことを念頭に置くと、15個ほどがよいのではないかと思います。
繰り返すことを重視するならより繰り返しやすい5個や10個でもいいのですが、それだけではやはりさらうことのできる英文や単語の数が少なくなってしまうので、15個ほどがさらえる英文の情報量と繰り返すことのできる現実性とのバランスのなかで、ベターと個人的には思います。
⑤息を吐きながら英文を音読し、ウィスパーボイスでシャドーイング(をしたり)する
これは、ダメな例はあえて挙げることはしません。
というのも、これは他①から④と比べて、個人的なおすすめという志向が一段と強いからです。
「息を吐きながら」というのは、英語の発音、特に「s」「z」をうまく発音しようと思ったら、息がデフォルトでずっと出ている状態の口の状態に舌を前歯の裏に添えるという感覚が不可欠だと思うからです。もし「息を吐きながら」をしないと、「s」「z」の部分の発音の際に、そこだけ息を強めるようなことをしてしまうことになるのですが、これも私の経験からの考えですが、英語を話す時は日本語を話す時よりも息を意識的に吐き出しながら、そのずっと出ている息の通り道を制限したり、遮ったりする感覚で口や舌を回すイメージで発生した方がうまくいきます。息というずっと動いているベルトコンベアがあって、その隣に立って、そのベルトコンベアにつまれている細かいたくさんの商品を真ん中だけ邪魔してみて「L]の発音。下だけ邪魔してみて「s」の発音、上すれすれだけあけて他を邪魔してみて「th」の発音。みたいなイメージですかね。
あと、ウィスパーボイスでシャドーイングをするというのは、これは本当に自己流のおすすめでして、シャドーイングを普通に発声しながら行うと、自分の発声した声で、音源が聞こえづらくなってしまいます。シャドーイングの趣旨は、音源の音声をまねることで自分の発生をそれに近づけることにあるのに、自分の声で音源が聞きにくいのではその効果が悪くなると思います。効果云々のまえに、ふつうに聞きにくいせいで、うまくシャドーイングができなかったのもあります。
そこで、私は、息を普通に話す時と同じように吐きながら、その息を口と下でコントロールしながら、有声音(「v」「z」など。)を排除して、無声音(「f」「s」など。)だけでシャドーイングをしています。そして、私は、この方法がうまくいっていると感じています。
しかし、この、音源をよく聞くために、有声音を排して無声音だけでシャドーイングをするという方法は、あらかじめ発音の練習を十分に行って発音を習得しており、自分で発生しなくとも頭の中で無声音と有声音を区別して扱える人、目安としてはTOEIC700を超えるぐらいの発音修得レベルがある人でなければ、かえって逆効果になるかもしれないので、そういう方法があるというくらいに参考にしてください。
そういったややこしい方法論ではあるのでここに載せるか迷ったのですが、このささやき声のシャドーイングを実践して私はTOEIC800+までたどり着けましたし、この方法のメリットとしては、英語学習で声を出すというのは同居人がいると恥ずかしかったり、賃貸物件であれば早朝・夜間には行いづらいという点がありますが、有声音を排除した音読なので、そのような心配がかなり減少するという点があります。また、声を出すというのはエネルギーをかなり使うものですが、息だけで行うことで、普通に声を出して行うよりもエネルギー消費が少なく、集中が切れずに長く取り組みやすくなります。
もっとも、やはり声をふつうに出して行うシャドーイングは、この場合にも必ず併用して行うようにしてください。実際に声を出して英語を発声するというのは、やはりその機能・効用の面は素晴らしいものがあって、実際の英会話の状態に近いことを自分でするというのは、いざ実際にその言葉を発しようとする場面で強力に後押しをしてくれます。やはり、口ずさむシャドーイングでは、リスニングは聞き取れるようになっても、話すこと(ひいては声を出して相手に英文を伝えること。)の経験値にはあまりなっていないように思います。
メリットとデメリットを理解して、両方をバランスよく使ってほしいなと思います。
おわりに
いかがでしょうか。
今回は、私がシャドーイングで試行錯誤する中で、より効果が出たと感じたシャドーイングの実践方法をまとめてみました。
ところで、方法論を本当に適切に説明するには、どのような入力をその方法に通すとどのような出力をするのかということについて、様々な要因や、様々な効果、さらには、その効果同士の関係性などをふまえる必要があると思います。
しかし、あえて私はそのような理論的なことにはできる限り踏み込まないようにし、私個人がうまくいったシャドーイングの実践方法を、私がうまくいかなかった(と感じた)シャドーイングの実践方法と比較して、まとめるよう努めました。
このような方法で少なくともTOEICスコア800+を取得することができた者がいるということで、一人の意見として参考にしてもらえればと思います。
一緒に頑張りましょうね。
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