はじめに
こんにちは、くじらです。
憲法分野から、沈黙の自由について、それはどこででてくるワードなのか、そしてその意味について、分かりやすく簡単に解説します。
参考文献
毛利透ほか著、『憲法Ⅱ 人権』(2017年、第2版、有斐閣)。
理解する意義
思想・良心の自由のその他の効果との区別が分かりやすくなります。
結論
沈黙の自由とは、思想・良心の自由の、効果の一つです。
つまり、憲法19条の思想・良心の自由に関連してでてくるワードということです。
沈黙の自由の保障の意味は、「公権力が、個人の内心の探知を目的とし、個人の現に保有する思想・信条を強制的に告白させ、または、推知することの禁止」(毛利透ほか著、『憲法Ⅱ 人権』(2017年、第2版、有斐閣)。)です。
意味を分かりやすく言い換えると、
内心探知目的で思想良心を直接に告白させることは許されないということです。
意味を理解する上で重要な点、3つ
①「個人の内心の探知を目的とし」という限定があること。
分かりやすく説明すると、
仮に良心を理由として法令遵守を拒みますといった場合、その結果その良心の内容があぶり出されることになります。しかし、これを絶対的保障することはできません。ということです。
(思想・良心の自由として保障されれば、それは絶対的保障。)
②推知まで禁止されている。
分かりやすく言えば、
告白せざるを得ない状況に追い込むことも許されないということです。
③強制的な調査それ自体が禁止される。
つまり、その調査は、不利益処分をするための前提として行われるようなイメージを抱きやすい。しかし、その場合に限定する必要はなく、その調査それ自体が内心の自由を侵しうるから、調査自体が許されないということです。
詳しい補足
思想・良心の自由の効果、概略
強制の禁止、不利益取扱いの禁止(特定の思想を持つ持たないことを理由とする不利益取扱い、レッドパージがその例。)、そして沈黙の自由。
なお、不利益取扱いの禁止に関して、
レッドパージ(red purge)とは、共産主義(への同調)者を、官庁・企業から追放したことであり、朝鮮戦争勃発直後の1950年6月6日から、占領軍の指示で大規模(1万2千人以上の労働者に対して。)に行われたもののこと。当該解雇無効を労働者は争ったが、最高裁は超憲法的効力説(占領軍の指令は憲法を超えるもので、占領下での日本の主権は制限され、その限りで法律は効力を持たない。)をはじめとした理由により、解雇は有効と結論づけた。
思想・良心の意味(指し示すところ)
意味
信条説と内心説がある。どちらかに固まっておらず、争いあり。
信条説は、保障対象が狭い。
他方、内心説は、対象が広くなる。
具体的には
信条説の対象は、宗教上の信仰に準ずべき世界観や人生観等といった個人の人格形成の核心をなすものに限定される。
内心説の対象は、事物の是非善悪に関する価値判断の作用一般を含めた内心全般とする。
「思想」と「良心」は区別する?
思想・良心を、内心における考えないし見方という一つの概念と捉え、区別に実益はないとする一体説が通説。つまり一セット。
終わりに
まとめると、
沈黙の自由は、19条の思想・良心の自由の、一つの効果。
内心探知を目的とした、思想良心の告白の強制は許されないという意味。
以上です。
イメージがしやすくなりましたでしょうか。
このカテゴリーでは、他にも、法律学習者が躓きやすい用語やそのイメージを解説しており、どんどん更新しておりますので、ぜひサイドバーのその他の記事などもご覧になっていってください!
コメント