はじめに
こんにちは、くじらです。
本日は、罪数論における、観念的競合とは何か。
重要ポイントをわかりやすくまとめます。
基本刑法Ⅰ総論・第3版を参考にしています。
結論
観念的競合とは、「1個の行為が2個以上の罪名に触れるとき」、
すなわち、1個の行為が同時に2個以上の構成要件に該当する場合をいいます(刑法54条1項前段)。(←定義)
ポイントは5つ!
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1 行為自体は1つ。
2 だけど、数個の犯罪が成立してる。
3 しかし、1つの行為をしたら複数の罪名に触れただけなので、一罪として処理する。
4 重い方の刑だけ使って、処断する。
5 科刑上一罪の中の一つである。科刑上一罪の中には、この観念的競合の他に牽連犯があり、
これも、重い方の刑だけで処断するのは同じ。
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以上が、観念的競合の押さえておくべきポイントです👍
補足解説
1個の行為の定義
「1個の行為」の定義は判例(最大判昭和49年5月29日刑集28巻4号114頁)が示しており、
↓
「法的評価をはなれ構成要件的観念を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合」をいうとしています。
これが、後に触れる、
併合罪と観点的競合を区別する判断基準になります。
似た他の言葉
併合罪との区別
併合罪とは、
科刑上一罪の関係に立たず、確定判決を経ていない2個以上の罪を、その罪をまとめて1個のグループとして単一の刑を言い渡すものです(単一刑主義)。
併合罪の処分は、
最も重い刑について定めた刑の長期に、その2分の1を加えたものです(47条)。
つまり、
重い方の刑が10年の懲役または禁錮であれば、1/2をした5年を加えて、15年という具合である。重い方の長さしかない観念的競合より長くなるといえます。
(なお、もうすぐ、禁固刑と懲役刑の名称はなくなり、拘禁刑としてまとめられるそうですね。)
こちらは、複数の行為が観念されるということですね。
法条競合
法条競合は、
1つの犯罪事実しかないが、複数の条文が適用できるようにみえるというものです。
みえているだけですので、成立するのは1罪です。
イメージとしては、傷害罪と暴行罪が適用できそうだけど、傷害罪だけ成立するみたいな(暴行罪が傷害罪に吸収されるなどと言ったりします。)。
終わりに
観念的競合に対する悩みが、少しでもこの記事により晴れてくだされば幸いです。
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