はじめに
こんにちは、くじらです。
このカテゴリーでは、【分かりやすい・簡単・法律解説シリーズ】と題して、法律学習者が躓きやすい用語やイメージについて、分かりやすく簡単に解説することをモットーにまとめています。
今回は、民事訴訟法の分野における、当事者能力と当事者適格の違いについて、解説していきます。
理解する意義
この両者はどちらも訴訟要件(本案判決をするための要件)なのですが、
この違いを理解すると、法人格なき社団や、契約によって結びついている組合というものが、民事訴訟において、原告や被告になって判決を受けることができるのかどうかの理解が、とてもわかりやすくなります!
結論
意味
当事者能力とは、当事者となり得る一般的資格です。その具体例は、民法上の権利能力者(民事訴訟法28条)や、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるもの(29条)です。
このことから分かるように、
当事者能力は、人や法人のように、権利能力者があれば、有しています。
(また、29条より、法人格を有さず権利能力をもたなくても(法人は、法人格を有する人や財産の集まりのことで、人と同じように権利義務の主体となることができます。)、29条の要件に該当すれば、民事訴訟において当事者となる一般的資格を有することができます!)
他方、
当事者適格とは、当該訴訟物について、自ら当事者として訴訟を追行し、本案判決を求め得る資格のことです。重要なのは、ある紛争の解決のために、誰を当事者にすることが必要で有意義かということです。
まとめ
つまり、権利能力者は当事者能力が簡単に認められ、29条により、法人格なき社団や組合についても、とある要件を満たせば当事者能力は認められます!
そして、当事者適格は、誰が当事者として必要で有意義かという観点から、本案判決をこの当事者間で出すことに意義があるかというものです。
補足
法人格なき社団の場合、
とある要件(多数決の原則が行われていることなどのだが、ここでは割愛。)を満たして当事者能力が認められたとして、
法人ではありませんから、権利義務の主体といえず、原告になれたとしても権利を主張、獲得できません。
ではどうするか。
そこで、実体法上の権利義務は構成員に帰属し、団体はその訴訟担当者として当事者適格をもつと考えるのです。
そうすることで、法人格なき社団は、構成員という権利義務の主体の代わりに、訴訟を担当するという当事者適格を得ることができ、自身は権利主体ではないが、構成員たちの権利を主張、獲得することができるのです!
終わりに
いかがだったでしょうか。
当事者能力と当事者適格はそれぞれ訴訟要件。
当事者能力は権利能力者は問題なく認められる。そして、残りは29条で補う。
当事者適格は、誰が当事者として必要性が認められ、有意義かという観点。
このようなわけですね。
当ブログでは、その他にも、抵当権を設定するのは債権者なのか債務者なのかといったことをはじめ、たくさんの勉強の復習や確認となる記事を用意していますので、ぜひご覧になっていってください!
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