はじめに
こんにちは、くじらです。
今回は、民事訴訟法分野で出てくる、「主張共通の原則」。
これはいったい、どの場面ででてくるもなのか。分かりやすく簡単に解説します。
理解する意義
主張共通という言葉は、民事訴訟法範囲において、実は二回ほど登場します。
ゆえに、はじめは混乱してしまう方もいらっしゃると思います。
その違いをきっちりと理解することで、頭のもやが晴れることでしょう。
結論
一点目
主張共通の原則は、弁論主義のところで、触れられる原則です。
弁論主義とは、裁判の判決の基礎となる事実と証拠の収集・提出を当事者側の権能であり責任とする建前です。その趣旨は、紛争の抜本的解決と、手続保障を前提とする自己責任です。
ここで重要なのは、この弁論主義は、裁判所と当事者の役割分担の話であり、当事者間の役割分担の話ではないことです。
そして、弁論主義には三つの原則(テーゼ)があり、
第一原則 裁判所は、当事者の主張しない事実を判決の基礎に採用してはならない。
第二原則 裁判所は、当事者に争いのない事実はそのまま判決の基礎に採用しなければならない。
第三原則 裁判所は、当事者間に争いのある事実を証拠によって認定する際には当事者の申し出た証拠によらなければならない。
この第一原則を、先に述べた重要な点を意識して読むと、
この事実の主張というのは、裁判所からみて、どちらの当事者によって弁論にあらわれたものでもよいのです。
つまりまとめると、
主張共通の原則とは、裁判所は、どちらかの当事者から弁論にあらわれた事実を、言った本人の不利に斟酌してもよいということです。
二点目
他の分野でもでてくるといいましたが、それは、共同訴訟の分野です。
具体的な登場の仕方としては、「共同訴訟人独立の原則の限界」という論点として登場します。
判例は、共同訴訟人間において、主張共通は否定し(弁論主義に真っ向から反するとして。)、証拠共通は肯定します(事実は一つとして。)。
そして、ややこしいことに拍車をかけるのは、この共同訴訟人間の証拠共通のことを、
証拠共通の原則と呼ぶこともあるということです(事実、新堂先生の教科書にはそのような記載があります。)。
そして、弁論主義の第三原則から、弁論主義の観点においても、主張共通の原則同様、証拠共通の原則というワードが存在します。ややこしいですね。
終わりに
まとめると、
弁論主義のところで、主張共通の原則と、証拠共通の原則がある。
そして、共同訴訟人独立の原則の限界の話のところでも、証拠共通の原則と呼ばれるものがある。
こういうわけですね。
今回は以上です。おつかれさまでした。
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