はじめ
このシリーズでは、法律を勉強する人が、理解に躓きやすいものを、「分かりやすく、簡単に」をモットーに解説します。
本日は、「民法のおける、取消しと無効、何が違うのか?」について、分かりやすく、簡単に解説します。
取消しと無効、何が違うのか?
結論
無効は→→①主張があることを要せず、当然に効力がない。②追認によっても効力を生じない。③最初から効力がなく、放置していてもはじめから最後まで効力はずっとない。
取消しは→→①’取消権者の主張があってはじめて、効力を失う。②’取り消されるまでは有効であり、追認すれば確定的に有効になる。③’有効であったところ、取り消されると、有効とされていた期間も最初から効力がなかったことになり、取消権には時効があるから取り消さないと最後には有効で確定する。
解説
無効と取消しの、原則的な対比は「結論」の通りである。
ところが、これの例外も存在し、それが理解をややこしくしているので、少し紹介する。
無権代理
無権代理にあたると、無効となる。しかし、本人が「追認」すれば有効になり、本人が追認しないうちは相手が「取消し」をすることができる場合もある。
無効ははじめから当然に無効であるというのが通常なのだが、無権代理は特殊なもので、無効であるから効力ははじめからないことになっているのにもかかわらず、追認をすると有効に切り替わる。そういう特殊で例外的な場合なのである。
意思無能力者
意思無能力者がした行為も無効となる。しかし、無効であると主張できるのは表意者である意思無能力者だけで、相手方は無効を主張できない。
無効は何人も主張ができるのが通常なのだが、意思無能力者の場合も特殊で、相手方からは無効を主張できないのである。これも例外的といえる場合である。
終わりに
無効ははじめから何の効力も生じておらず、追認も不可。そして何人でも無効と主張できる。
それに対して、取消しは、取消権者しか主張できず、取り消すまでは有効。追認すると有効が確定的となり、取り消すと遡及的に効力がなかったことになる。というわけである。
この、躓きやすいものについて、ピンポイントで分かりやすく、簡単に説明する当該シリーズ(タグ・カテゴリー)はまだまだ更新予定なので、ぜひお楽しみに!ほかのも見てみてください!
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